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怪傑――劉向前

作者:応風旃 文章来源:贯通论坛 点击数 更新时间:2004-7-9 11:17:00 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语

劉向前と葛義は、二人とも歌が大好きで、特に80年代半ばに流行った歌と音楽に夢中です。友達とカラオケに行くたび、主役はいつもこの二人です。
 劉さんはアメリカ音楽の大ファンなので、有名歌手のコンサートのビデオテープとカセットテープをたくさん集めています。夏も冬も、劉さんが家に帰って最初にすることはカセットデッキの電源を入れて好きな曲を流すことです。
 劉さんはまた、友達にその曲や歌手を勧めることも大好きです。誰かが彼のテープを借りようものなら、必ずその歌手の個人情況や、それまで開かれたコンサートのこと、歌のランキングなど、こと細かく説明してくれるのです。

 ある日の夜、劉さんと一緒にバイトしている友達が仕事を終えた時、終電の時間をとっくに過ぎていたので、劉さんの家に一晩泊めてもらうことにしました。
 劉さんは、家に帰ってすぐ
マイケル・ジャクソン
のコンサートのビデオを友達に見せて、しかも見ながらずっと熱心に自分の説明を聞かせていたのです。
 そのうち友達の反応が聞こえなくなったので、劉さんが振り返って見ると、友達はもうとっくに夢の中だったそうです。翌朝の5時、友達が目覚めたとき、テレビの前で興味深々にコンサートに見入っている劉さんの姿を見たそうです。
  
 日本では、ゴミの収拾にはルールがあります。劉さんは、そのルールを覚えるのが面倒なようで、ゴミを部屋中に置きっぱなしで、出すことは滅多にありません。
 部屋にたまったゴミは日々増える一方で、10平米の部屋は、机とベッドの置き場と、玄関からベッドに直通する通路を除いて、ほかの場所は
すべてゴミに占領されています

 さらに、せっかく探し集めてきた研究資料を家に持ち帰っても、ゴミと同じようにどこかにポイと捨ててしまうのです。いざ資料が必要になったとき、それを探し出すのはまるで「只在此山中、山深不知処」(山の中にいるだけだが、山の奥はどれだけ深いか分からない。資料をゴミの山から探すのは大変だ、ということ)のようです。
 隣の硬さんが、時々劉さんのゴミ片付けを手伝ってくれるのですが、でも二週間もすればまたゴミ山状態に戻ってしまうそうです。

おつり 劉さんは、日本にきた最初の頃、日本のお金を使うのに慣れていなかったので、毎日返されるお釣りを、いつも家の机の上にポイッと捨てておきました。
 時間が経つにつれて、机の上は
コインの山で一杯
になってしまいます。それがあまりに目立つようになったせいか、ある日劉さんは思い切ってそのコインの山を、大きな水切りザルに移したのです。重さは5キロもあったそうです。
 その後、劉さんはそのザルを
自家製銀行
にしてしまいました。というのも、月末におカネを使い果たすと、劉さんはそのザルから500円玉を何枚か探し出して買い物に行くからです。
 500円玉を使い果たしてしまうと、今度は100円玉と50円玉に手をつけます。結局ザルの中には10円玉ばかりが残されるのです。ザルの中のコインの山は、だんだん10円玉の山に変身してしまうのです。
 
 たまに友達がギャンブルをしに遊びにきても、みんな現金をそれほど持っていないので、お金がなくなると劉さんに借りることにします。劉さんは普段使わない10円玉を貸すのです。
 貸し借りは極普通のことですが、ただ可笑しなことに、その10円玉からなった100円を勝ち取った人は、その後
ギャンブル運が急に落ちてしまう
のです。
 幸いみんな苦学生だし、他人のお金を勝ち取るためにギャンブルをやっている訳でもないので、たまにそんな風にみんなでギャンブルゲームをやってストレス解消するのです。
  
 一人暮らしの男の人の一番の悩みは料理でしょう。学校の食堂で売られているランチやバイト先のまかないを食べるほか、劉さんの食事はほとんどコンビニ食です。
 週末は、劉さんが中国にいる彼女に電話する日です。ときどき、彼女に電話をした後、また他の中国の旧友に電話します。恒例の電話連絡を終えると、劉さんは
新しいエネルギーを注がれたように
、再びピンピン元気になるのです。
 
 好きな音楽を聞いたり深夜映画を見たりして、劉さんがそろそろベッドに行かなければならないと思ったときには、もうすでに翌朝を迎えるころです。劉さんにとって、
一日は36時間単位
で回っており、一週間はたった4日間しかないのです。
 彼の生活リズムはすべて36時間単位で計算されています。もし、あいにく彼の睡眠時間に授業やバイトがあったら、彼は少し辛抱せざるを得なくなります。それでも、彼は相変わらず自分のリズムを保っているのです。
 彼の友達の話によれば、同じように夜の11時に彼に電話をしたのに、一回目は彼は起きたばかり、二回目は彼がベッドについたところだったそうです。彼の生物時計は分かりにくいですこと!
  
 この前、マイケル・ジャクソンの日本公演の消息を耳にしました。でもさすが劉さん、彼は半年も前から知っていたそうです。
 コンサートチケットの予約は、開始日の一ヶ月前からコンビニで予約できることになっているので、劉さんはまたチケットの入手に一番詳しい人です。ですから、何人かの友達はチケット予約を彼に任せています。
 また、彼は自分で招待したい友人もいて、友達の分と自分の分を合わせて、コンサートのチケットを
10枚も予約してしまいました
。そのチケットは一枚8000円で、友達に頼まれた4枚を除いて、あとの6枚は計4万8000円もするそうです。
 4万8000円は、劉さんが一週間必死にバイトしてやっと稼げるほどの大金なのに、劉さんはそれをチケットに注ぎ込むことに少しの躊躇もしませんでした。
 ようやく、コンサートの開演日がやってきました。結局、彼は、他人にプレゼントしようとした切符の中から、1枚を手元に残し、2回目のコンサートを見に行ってしまいました。マイケルの日本でのコンサートは2回しかなかったのですが、もし後6回もあったならば、劉さんはきっとその6回も
全部一人で見尽くしてしまう
でしょうね。
  
 劉さんの特技は、良い意味での
「苦しい時の神頼み」
です。つまり劉さんはいつも危機寸前からうまく脱出できるのです。それは偶然ではないと思います。それこそ劉さんの才能の現れなのです。
 劉さんの専攻は経営学ですが、経営戦略は戦術と似たようなものです。劉さんは人民解放軍の戦闘史にかなり詳しいのですが、とくに揚得志が率いた63軍には心の底から感服しているそうです。
 劉さんの言うところによるとこうです。――「那叫王牌中的王牌!」(63軍はキングの中のキングなんだぞ!)
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