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新聞配達

作者:じゅん菜 文章来源:贯通论坛 点击数 更新时间:2004/7/9 11:09:00 文章录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语

 

配達バイク 私がこの新聞屋に採用されたのは、前にここでバイトしていた李さんのおかげです。私は李さんに会ったことはないのですが、新聞屋の社長の話から、李さんの人柄を想像することが出来ました。
 彼は勤勉な人で、仕事も早く、その上思いやりのある、信頼できる人だったそうです。
 社長の血液型はA型で、何ごとも第一印象が重要だと思っているのです。記憶の中の人物や出来事が美化されているのか、それとも李さんという人が本当に素晴らしい人だったのか、とにかく、社長は彼のことをよく思い出すようでした。
 しかも李さんは、私がこの店に入る前までに社長が接触した唯一の中国人だったので、そういうわけでか、私の応募電話を受けた社長は、その場ですぐ私を採用してくれたのです。
 ですから、私は李さんのおかげで採用されたと言っていいでしょう。まるで李さんが植えた「大樹」の下で、ゆうゆうと涼んでいる私――、そんな気がしょっちゅうしたものです。

 新聞屋の仕事は大変だとよく言われますが、私はたいして大変ではないと思います。バイクに乗れば、夜中に2、3時間、新聞を配達するだけです。1ヶ月で15万円の収入をもらえます。最も不景気のときでも、1ヵ月最低10万円の収入を確保することができるのです。10万円あれば、1ヶ月の生活はまあ心配ないでしょう。
 しかし、私は肝のちいさい人(臆病)なので、自転車しかのれません。ですから社長は、お客が密集している地域を私に割り当ててくれました。
 毎日2時間半、配達する新聞は200部です。月給は10万円でした。毎晩12時半から1時までの間に、翌朝の新聞が新聞屋に届くので、私の出勤時間は深夜2時半くらいです。
 店に行くと、まず用意されたチラシを新聞に入れて、終わると本番の新聞配達に出かけます。日本の新聞は30数頁もあり、その上にまた20枚前後のチラシが加わって、一部だけでもすごい厚さになるのです。
 ですから、200部の新聞を一度に全部持って行くことが出来ません。途中で、もう一度引き返して残った新聞を取りに行かなければならないのです。
 配達用の自転車は後ろの荷台がとても広く、前の籠も大きく作られているので、籠に20、30部入れて、残ったのを後ろの荷台に置くのです。重たい新聞を乗せてからは、自転車はそう簡単に言うことを聞いてくれなくなります。
 ポストが住宅の外に設置されている場合は、ベテランの配達人なら自転車から降りなくても新聞を投げ入れることができます。でも、庭の中に入ったり階段を登ったりすることもあるので、かなりの体力が必要です。また、犬を飼っている家に配達するとき、ときどき犬に驚かされることもあります。

 また、天気のいい日なら何の不便もありませんが、雨が降ると、ちょっと辛いです。なぜなら、新聞を一部一部ビニール袋で密封する仕事が増える上に、そのビニール袋を封じるための機械が新聞屋には一つしかないので、配達人は列に並んで長く待たなければならないからです。
 それに、店から渡されるレインコートは、防水性があまりよくないので、しょっちゅうずぶ濡れになってしまうのです。しかも、一番大事な股のところが濡れてしまうので、とても気持ちいいとはいえないのです。
 東京は、一かけらの雪も降らない冬があるかと思えば、何度もドカ雪が降る冬もあるところです。雪の日に雪が厚く積もっていると、自転車はもう完全に使えません。
 ある年、バイクでも走れない大雪の日に、社長は自ら車で私たち配達人をつれて配達に行ったことがありました。その日は深夜2時から朝の8時半まで仕事が終わらず、とても大変でした。(でも給料は変わらないんですよ!)

 店に届いた新聞の山
 ここでは、仕事仲間がお互いに面倒を見あうことが暗黙のしたきりです。社長は人件費を節約するために、自分でも400部の新聞を配達します。
 また誰でもたまに寝過ごす事があるのですが、そういうときには、同僚達が一緒にその人のチラシ入れを手伝うのです。
 店内のテーブルは、配達時間の順序によって誰が使う番になるかが自然に決まっています。そうは言うものの、店内で仕事をするときは、やはりなるべく多くのスペースを占めないように、みんな心がけています。
 また、他の人を長く待たせないように、チラシを半分入れてから、いったん配達に行くのです。戻って来る頃には、テーブルはたいてい空いているので、そのときまた残った半分のチラシを入れる、というやり方もありました。
 配達が終わっても、みんな必ずいったん店に戻ってきて、店宛てに電話があったかどうか、あるいは社長に何か連絡事項があるかどうかを確認するのです。

 お客さんからは、たまにクレームが来ることもあり、新聞が届いていないといった文句の電話がしばしばありました。またライバル店の人が、届けた新聞をわざと引き出して捨ててしまうこともあり、そうなるともう大騒ぎです。
 また、たまに特別なことを要求してくるお客さんもいます。たとえば、朝6時までに必ず届けてくれ、とかですね。そういう要求があるときは、配達人は自分の配達ルートを変えなければならないのです。
 社長はクレームを一番恐れているようでした。たとえば、新聞が届いていないというクレームが来ると、あわてて当日の新聞と3箱の洗剤(なぜいつも3箱にこだわるかわかりませんが)をもってお詫びに行くのです。

 新聞配達の欠点は、配達人の生物時計がひっくり返されてしまうことです。私は必要な睡眠時間を得るために、毎晩9時までにベッドに入らなければなりませんでした。でもそうすると、9時から11時までのテレビ番組を見ることができなくなってしまうのです。
 しかも仕事を終え、帰ってくると、また少し横にならなければならないのです。でないと、一日中「青菜に塩」のような状態になってしまうからです。

 新聞配達の良いところは、普段見られない世界を見ることが出来るということです。真夜中でも、徹夜で仕事をしている人が案外多いという事や、まだ夜も明けないうちから、起き出している人がたくさんいるのだ、といった事を知ることが出来るのです。
 とくに、朝日が初めて大地を照らすときの風景は、まるで絵画のようで、少しずつ少しずつ静かに目の前に広がっていく様を見ながら、自分だけの世界を楽しむことができます。
 暁のなんと美しいことか!――そう実感することが出来るんですよ。

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