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老硬の魚釣り

作者:孔新采  来源:贯通论坛   更新:2004-7-7 8:17:00  点击:  切换到繁體中文

  大きな鯉
  老硬は魚料理が大好物です。日本には魚がたくさんいて料理方法も色々ありますが、老硬はいつも同じ方法で調理します。まず、サラダ油で魚を揚げてから、ねぎ、生姜、ニンニクなどの調味料を入れてゆでるのです。
  残念ながら、海の魚にはこの調理法に適したものがあまりありません。マグロとか、鯛とかの高級魚をこういう風に調理したら、かえってもったいない感じがします。だから、老硬は中国の鯉料理が懐かしくてたまりません
  ある日のことでした。一緒にバイトをしている仲間たちが、近くの川に大きな鯉が泳いでいるのを見て、釣り道具を買ってきて川辺に魚釣りに行きました。
  しかし川での釣り方をあまりよく知らないので、何時間たっても一匹も釣れません。どうにも負けたくない皆は、悪知恵を働かし始めました。
  近くの池に行ってパンを撒いて見たら、鯉がたくさん寄ってきました。手に針を下げ、引っかけて釣ってみたら、20センチの小物が何匹か上がりました。
  みんな大喜び、早速家に戻って鯉料理を作って会食しました。久しぶりの田舎の味で、あっという間に汁まできれいに平らげてしまいました。
  まだ食べたい、どうすればいいだろうと、皆で相談した結果、投げ込み用の竿と仕掛けとを買ってきて、川で釣ることにしました。
  寄ってきた鯉
  何本か安い釣竿を新調して川に出かけて試した結果、成果は抜群、50センチ以上の大物も上がったのです!鈴の音で当たりがわかるので、夜バイトが終わってからやっても大丈夫です。
  大物なら一匹で4、5人分もあるので、毎週一度ぐらい皆で楽しみにしていました。そのうちに老硬もこんな楽しいことがあると知り、加わることになりました。早速竿と仕掛けと餌を買い、「連れて行ってくれよ!」と待ちかねたように毎日友達を催促しました。
  東京の夏は、とても蒸し暑いものです。日本の木造住宅は、ただの箱みたいで、冬は寒く夏は暑いのです。エアコンを使っても一部屋しか効かないので、トイレに行くだけでも、汗だくになり、しかも部屋の中の温度は外よりも高く、夜12時以降にならないと寝付けません。その上、朝7時になると暑さで目が覚めるのです!
  バイト先は乳製品の工場で、気温が暑くなると、注文も少なくなり、8時か9時に仕事が終わってしまいます。こんな暑さを家でじっと我慢しているより、川辺に釣りに行った方がずっと気持ちがいいし、納涼もできるというものです。
  初めての釣りの日、老硬は8時に仕事を終えると、ご飯を食べてから奥さんと一緒に川辺にやってきました。家から川辺までは自転車で5分、着いたときにはもうすでに始まっていました。
  仕掛けのつけ方や投げ込み方を教えてもらい、最初の投げ込みだけはベテランの人に代わりにやってもらいました。
  真っ暗で何も見えない向こうに、「トーン」と水音が聞こえ、数秒後に糸を適当に戻して、鈴をつけてから竿を自転車に固定します。
  一通り終わったらあとは当たりを待つだけです。 周りを見渡すと、遠くのライトと近くの橋の灯りが水面に映りきらめいていて、川の向こうの藪からはウシガエルの低い鳴き声が聞こえ、川からは時折魚の飛び上がる音も聞こえてきます。
  川辺には暑さの憂いはなく、仲間たちは皆シャツも脱ぎ、岸に座り込み、夜風が運んできた涼の中でビールを飲みながら世間話をしていると、ふと自由自在な感覚が心に広がっていったものです。
  川遊びの風景
  鈴がなりました。音のした方向を見ると、ちょうど老硬の竿でした。老硬は竿に飛びつき、四十代後半の人間とは思えないほどの素早さで、間もなく15センチぐらいのフナを上げました。
  これは老硬の生まれて初めての漁の獲物で、本人は言うまでもなく大喜びでした。しかも、これも中華料理によく使われる食材の一つで、中国ではこれぐらいの大きさのフナは鯉よりも高価なのです。
  同時に他の鈴もなりました。老硬は自分で仕掛けを直すしかありません。老硬が教わった要領で餌つけて、竿を握って力一杯投げると、竿は急に軽くなり、向こう岸の砂浜から変な音が聞こえてきました。
  「あれ、へんだな?」、老硬は竿を上下に振ってみましたが、思ったように糸が引っ張っている感じがしないので、竿を下げて確かめてみました。するとなるほど、投げる前に糸止めのハネをあげるのを忘れたので、糸が切れて、餌とおもりは砲丸のように川の向こうに飛んでしまったようです。
  老硬はそれでも黙ったまま予備の仕掛けを取り出して餌をつけてもう一度投げてみると、今度は成功しました。 皆もこの一部始終を見ていたのですが、見なかったふりをして懸命に笑いをこらえました。
  一度成功した老硬は、順調に釣果も上がり、その晩は皆の運を奪ったかのように当たりを連発しました。 それから老硬は魚釣が大好きになりました。
  仲間の間で「老硬の釣ニュース」が時々流れたほどでした。

「老硬の釣りニュースその1」
  ある日、老硬は竿を仕掛けてから、茂みで立小便をしていたところ、竿を差した自転車が大きな音を立てて倒れました。竿が自転車から抜け出し、矢のごとく川の中に引っ張られて行ったのを見て、老硬はズボンを整える間もなく、慌てて竿の方に駆け寄りました。
  近づいて見ると、もう竿は岸から3メートルほど離れたところにありました。老硬は蛙飛びで竿に飛びつき、やっとの思いで45センチの鯉を上げました。これは、老硬の釣った魚の新記録になりました。

水面に顔を出す鯉「老硬の釣りニュースその2」
  ある日、老硬が二本の竿をセットしていると、その中の一本の鈴がなりました。早速上げてみると、小さな魚がついていました。しかしよく見ると針に他の糸がついていたので、たぐりあげて見ると、糸の先には仕掛けとおもり1セットが引っかかっていました。
  「これはしめた!」と思いハサミで切って箱に入れ、残りの糸をたぐり上げようとした時、もう一本の竿の鈴がなりました。急いで竿を持って当たりを確認してみたら、なんと仕掛けとおもりが全部なくなっているではありませんか。
  それを見て自分でも思わず笑い出し、いつものセリフ「真操蛋(なんて馬鹿なこと)!」をつぶやきました。その後2、3日の間、仲間も皆同じセリフを繰り返したものです。


 

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