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ある女の子の物語
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Bさんは今年22歳です。3年前に日本にきて、「九九八十一難」(大変の苦労をしたこと)を経て、やっと希望する大学に進学することができました。今は大学三年生です。 大学に入る前、Bさんはあれもこれもと色々な夢を抱いていました。しかし、いざ大学に入ってみると、夢多き大学生活は、彼女が思ったほどハッピーなことばかりではなかったのです。 窒息しそうなほどの抑圧感を感じる時期すらあったといいます。Bさんだけではなく、彼女と同じ経験をもつ留学生達は、みんな同じように感じたことがあるというのです。 数週間前のある日のことです。Bさんはゼミで思いがけなく「不該発生的事情」(起こるはずのない出来事のこと)に出くわしました。 ゼミのメンバーは20人ほどでしたが、Bさんはその中の唯一の留学生でした。ゼミの授業方式は、指導教官が教材を一冊指定して、みんなでそれを輪読するという形です。 授業ごとに担当になった学生は、授業までに該当する部分の内容をレポートに作成して、発表するのです。Bさんは前の週、発表担当でした。今週の発表は、日本人のK君が担当することになっていました。 K君が発表を終えてから、先生は言いました。「何か質問がありますか?」と。すると、Bさんは、自分がまだ分からない部分について質問してみたのです。 Bさんの質問に対して、K君はいらいらしながら、「あの~、えーと…」という言葉しか出てきませんでした。とうとう数分後、K君はぎこちなく不自然な作り笑いを浮かべながら、本から探し出した回答を読みはじめたのです。 しかし、率直なBさんは、何も思わずにこう言いました。「定義は分かりますけど、私が聞きたいのは、実際の応用の中でこれがどんな役割を果たしたかという疑問なのですが。」 K君は、かろうじてBさんの質問に解釈を与えましたが、逆にますますBさんを困惑させてしまったのです。 Bさん:「そうすると、……というふうになってしまったじゃないですか?」 K君:「……。」 結局、このときは先生が助け舟を出してBさんの質問に答えを与えたのです。 放課後、教室内の雰囲気は、普段とちょっと違いました。「ひどい!」と、K君はそばの学生に文句を言い始めたのです。相手も頻繁に相槌を打っていました。 普段、授業の後、たちまちギャーギャーと騒ぎだす女子学生たちもこの時だけは、黙ったままでした。とにかく教室中の空気はとてもおかしな感じがしたのです。
Bさんは、他のゼミ生が自分のことを避けようとしているように感じました。でも、さっぱりした性格のBさんは、それをあまり気にしないで、いつも通りに教室を出てエレベータに向かいました。 一階に下りてくると、ちょうど同じゼミのある女子学生に出会い、Bさんは彼女に声をかけました。すると彼女は小声でBさんに聞いてきたのです。「Bさん、最近何かあったの?」と。 「何もないですよ。どうしたの?」Bさんは、すぐに授業のことを思い出して、率直に彼女に聞いてみました。「さっき授業のとき、私聞きすぎたかな?」と。 「いいえ、そんなことはないけど、ただK君も一所懸命Bさんの質問に答えようとしていたよ。」 「そうだけど、中国では授業中みんな積極的に質問したり議論したりするのはごく普通のことなんだけど。日本ではそうじゃいけないの?」 「そうじゃないけど…、あっ、ちょっと用事があるから、じゃお先に。」その女子学生は突然離れていってしまいました。
次の授業は大教室で行われるので、そこで、Bさんは何人かの同じゼミの男子学生に会いました。普段なら、彼らはよくBさんに声を掛けるのですが、今日はみんなBさんを見て見ぬふりをして、その傍を通り過ぎていってしまいました。 中の一人がBさんにちょっと会釈をしたので、Bさんは「日本人は質問されるのがいやなの?」と彼に聞いてみました。「いや、何と言えばいいんだろう、お互い考え方が違うかもしれないけど。」といって彼は教室の奥に入っていってしまいました。
Bさんはみんなの態度の激変をとても悔しく思い、そう思えば思うほどなお悔しくて、とうとう泣き出してしまいました。彼女のそばに座っていた韓国の留学生が心配した様子で「何かあったの?」と、彼女に聞きました。Bさんはゼミのことを全てその留学生に打ち明けてみました。 彼は「僕も前にそういう経験がありましたよ。Bさんは間違っていないです。理解しにくいのは日本人のほうですよ。」というふうに、彼はBさんのことを慰めたのです。 「でも、これから私はどうすればいい?」 「日本人になるんですよ。つまり日本人を理解していきながら、自我をも見失わないことです。」 韓国留学生の話をきいて、Bさんはなにか悟ったような気がしました。「そうだ、ここは日本だから、しようがないな。」と。でも、理屈では分かるのですが、やはりどこか変だとBさんは思わずにはいられないのです。 毎月5万円の学費と必要な生活費を稼ぐために、Bさんは必死に働かなければならないのです。学校の時間は彼女にとって非常に貴重な勉強時間です。たとえ一秒でも無駄にしたくはないのです。 質問を通して疑問を解決することは、どこが悪いのでしょう?もし、発表の内容に対して、誰もみな黙ったままでじっと座っているだけなら、授業の意味はなくなってしまうじゃないですか。 「私、自分は間違っていないと思います。ファイト!」と、Bさんは韓国留学生に言いました。 「ファイト?あなた一人でどうやって19人とファイトするの?1対19で、勝てるわけがないでしょう。」 Bさんは先日の出来事を思い出しました。それは初めて日本人学生と一緒に飲み会に行ったときのことです。Bさんはわざと日本人女子学生のように「かわいい」ふりをしていたのです。 それによって、彼女は日本人男子学生の間で人気が急上昇しました。でも、それはあくまで「ふり」をしていた彼女であって、本当のBさんではないのです。 日本人を真似することは難しくはないですが、Bさんはそのとき確かに自我を見失ったような気がしたのです。
Bさんは今ジレンマに陥っています。学問のために素直に質問し続けるのか?それとも人間関係のためにおとなしい「羊」になるのか?という難しい選択が、彼女の前には横たわっているのです。 私には一つはっきり言えることがあります。それは、Bさんがどんな選択をしても、彼女の留学生生活は、この先きっと波乱万丈だろうな、ということです。
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留学录入:贯通日本语 责任编辑:贯通日本语 |
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