ある時、私は日本の某重工業企業で、中国研修生のために1ヶ月ほど通訳をしたことがあります。そこで私は普段の生活では見ることの出来ないことを目にしたのです。
研修生の世話をしていた某常務は、日本ではかなり高い肩書きを持っていた人でした。ところが、その人はもう定年退職の年に近づいたため、窓際族として長年居座っていたのです。
その人は取るにたらない些細なことでも、忙しそうにやって見せて、自分の力を発揮し尽くそうとしていました。
例えば、ある日スケジュールを見ると、某国代表団がくるというので、会社の前にその国の国旗を掛けなければならないことを知りました。彼は朝早くから事務室を出たり入ったりして、たいそう忙しくやっていました。
その日の午前中を全部費やして、ようやく国旗を掛け終えました。代表団が現場を見学した時、彼はその前で案内しながら会社のことを紹介し、大活躍でした。
1時間後、代表団が去った後、「今度は彼も少しは休めるだろう」と私は思ったのですが、彼はまだまだバタバタしていました。
1週間もたたないうちに、研修生たちはその謎を見破りました。彼は「三不主義」というあだ名を与えられることになったのです。その意味はつまり「仕事もしない、休みもしない、止まろうともしない」ということです。