普通の考えでは、日本人が日本語をしゃべるのは当然問題ないだろうと思われますが、実際にはそうでない場合も多いようです。言葉の笑い話もたくさんあります。
ある国際電話会社のオペレターがイヤホンの向こうから「コレステロール通話お願いします。」という要求を受けたのですが、「そんなサービスあったっけ?」とさんざん思い悩んだ挙句、ようやく「コレクトコール」のことだと気がついたという話を聞いて、私はつい笑い出してしまいました。
カタカナの言葉はとにかく覚えにくいものですが、古い言葉もよく問題があるものです。
大学院のゼミでこんなことがありました。ある女の子が、ある町の醤油醸造業について発表しましたが、緊張し過ぎたせいでしょうか、どうしても「しょうゆじょうぞうぎょう」を正確に読めませんでした。
前を正確に読めば、後ろが間違い、後ろを正確に読めば、前が必ず間違うといった調子で、この1時間半の発表は、まさに彼女と「しょうゆじょうぞうぎょう」との苦闘になりました。みんながいくら我慢してもできないので、ゼミが終わるときには、ほっぺたがすっかり疲れ果ててしまいました。
同じ大学のゼミですが、ある修士課程に在学するサラリーマンのおじさんは、知的所有権の管理に関連する発表を行いました。中に、ドイツ経営学者ションペーターの理論に関連する内容があり、その人は、この言葉をはじめて読みあげたので、「ションペーター」がどうしても「しょんべん」になってしまい、口を滑らせてそのあとまた読み直すというパターンに陥ってしまいました。幸い、これに関連する内容はそんなに長くありませんでしたが、彼はその名前を読むたびに、みんなが笑い出したくなり、失礼だと思い懸命にこらえたので、教室は「クス、クス」という忍び笑いの音で一杯でした。