留学生の赫(ホウ)さんは、庄(ゾァン)さんという女の子のことが好きです。この庄さんは大都会、上海の出身で、「つかず、離れず」という要領がよく分かっているので、「凌波微歩」、カンフーでもしているかのように赫君とおいかけごっこをしながら対応しています。 赫君は女の子と付き合うのはまだ初めてなので、いつか庄さんに告白するチャンスばかりを狙っています。ある日のことでした。赫君は友達と一緒に大学に行って、インターネット利用のユーザーIDを申請に行きました。 申請するときはパスワードの設定が必要ですが、中に大文字、小文字、アラビア数字を含む8桁の文字の組み合わせが要求されました。赫君の友達は複雑なパスワードで、忘れたら大変だと思ってなかなかいい案が出なかったのに、赫君はもう直ぐに出来てしまいました。 友達は赫君が書いたのを見ると「HZ2sy4nx」でした。友達が「これは複雑なパスワードだね、どうやって覚えるの?」と驚いてみせると、「これは僕と彼女の名字からアルファベッドの頭文字を取って組み合わせたもので、2はわが二人の意味、4は4人の子供を作るという意味だよ。どう?簡単で覚えやすいだろう。」と赫君が答えました。 友達は「すばらしいね」とお世辞をいいながらも、心のなかで「もうそこまで計画しているのか」と笑っちゃいました。
注:「凌波微歩」とは香港作家の金庸の小説に描かれたカンフーの一種で、それを体得すると、逃げ足が速く、敵の近くにいても捕まることはないというものです。
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